実家の解体・売却前に思い出を残す|ハウストーリー(HOWSTORY)

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自宅をVRウォークスルーで残す全手順|じっくり考える 実家じまいの教科書

じっくり考える 実家じまいの教科書

自宅をVRウォークスルーで
残す全手順

「VRウォークスルー」とは、家の中を実際に歩いているように体験できる立体的な記録のこと。マウスやスマホ操作で部屋を歩き回り、好きな場所を立ち止まって見られます。解体予定の自宅を、後の世代まで「歩ける形」で残せる手段として、近年広がっています。この記事では、目的設定から業者選び、撮影当日、データ受け取り、家族への共有まで、自宅をVRウォークスルーで残す全手順を、実用面に振り切って整理しました。
CASE STUDY
「もう帰れないはずの家に、
帰れた」実例をご紹介

ご家族がどのように思い出を残したのか、
実際の事例をご覧いただけます。

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事例 内観写真1
事例 内観写真2
事例 外観写真
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VRウォークスルーとは何か――歩いて見られる家の記録

VRウォークスルーは、家の中を3Dスキャンしてデジタル空間として保存し、後から「歩いて見る」ことができる記録形式です。Webブラウザ・スマホ・VRゴーグルなどで開くと、玄関から部屋へと歩いて回る感覚で家を体験できます。本記事では「自宅を実際にVRウォークスルーで残すプロジェクト」を、家族で進める視点で全手順を整理します。

「動画」との違い

動画は撮影者が決めた経路を再生するだけですが、ウォークスルーは見る人が自分の意思で歩き回れます。「次はリビングに行こう」「この部屋は奥まで見たい」と能動的に選べる点が、決定的な違いです。

「3Dモデル」との違い

3Dモデルは形状のみが残ったデジタルデータですが、ウォークスルーは360度パノラマ写真と3D構造が組み合わされていて、実際の家の質感・色・暮らしの痕跡まで一緒に残ります。形状だけでなく「あの家らしさ」まで保存される形式です。

誰が見るのか

家族・親族・遠方の友人・将来の子孫まで、URL一つで体験を共有できます。見る側の機材は最低限スマホがあれば充分で、VRゴーグルがなくても画面の中で歩く感覚は十分に得られます。

残せる期間

納品されたデータをきちんと保管しておけば、10年・20年・30年と長期的に残せます。データ形式の互換性確保や複数バックアップが鍵で、これは後述します。

VRウォークスルー制作の5フェーズ(独自フレームワーク)

自宅をVRウォークスルーで残すプロジェクト全体を、ハウストーリー独自の5フェーズで整理します。各フェーズには独自のゴール・期間・タスクがあり、家族プロジェクトとして進める設計図になります。

フェーズ1:目的設計(誰のために、何を残すか)

家族のため?子孫のため?自分の心の整理のため?目的を決めると、撮影範囲・残す詳細度・予算が見えてきます。最初の判断が、後の全工程を決めます。期間:解体3か月前。

フェーズ2:業者選定(プロかDIYか)

プロに依頼するか、自分でやるかの判断。個人スキャンとプロスキャンの違いは家の3Dスキャン、個人でもできる?プロとの違い(教科書)に整理しています。期間:解体3か月前〜2か月前。

フェーズ3:撮影実施(家がある間限定の機会)

家の状態を整えて、撮影日に1日かけて家全体を網羅。撮り直しはできないので、念入りに準備して当日を迎えます。期間:解体1か月前。

フェーズ4:データ受領&確認(足りないところを補完)

納品データを家族で確認し、撮り漏れがあれば追加撮影を依頼。家がまだある間に確認するのが鉄則です。期間:解体2週間前〜直前。

フェーズ5:保存&共有(長期的な活用)

家族・親族と共有し、複数のバックアップを取り、長期保存の準備。20年後に見られる状態を作って、初めてプロジェクトが完了します。期間:解体後の継続的な活動。

フェーズ1〜2:目的設計と業者選定

最初の2フェーズは「誰のために、何を、どう残すか」の設計段階。ここでの判断が、後の全工程を左右します。

目的タイプ4種から選ぶ

(A)家族の思い出として残す(最多パターン・特別な精度不要・コスト抑えやすい)/(B)子・孫の代まで届ける(長期保存・高精度・網羅性必須・プロ業務用が望ましい)/(C)実用的な情報として残す(リフォーム比較・不動産売却・相続争い証拠など、業務的目的)/(D)複合型(思い出+実用)。多くの家庭はDだが、優先度を決めるとメリハリがつきます。

家族で目的を共有する時間

「何のために残すか」を家族で話し合う時間を取ると、後の不満・揉め事を予防できます。30分〜1時間の家族会議で、それぞれの希望を聞き出してください。「私はこの部屋を絶対残したい」「父の書斎は細部まで」など、優先要望を共有。

業者選定3選択肢

(1)プロのVR撮影業者(業務用3Dスキャナー+プロ技術/15万〜35万円)、(2)iPhone Pro等で自分で撮るDIY(無料〜数千円/精度・網羅性・長期保存性で劣る)、(3)プロ+DIYのハイブリッド(公式記録+家族の手作り記録)。

業者選びのチェックポイント

プロ依頼時の確認5項目:(1)料金体系(一律 or 部屋数×単価)、(2)納期(撮影〜納品まで何日か)、(3)納品形式(Webブラウザ・VRゴーグル・動画など)、(4)長期保存サービスの有無、(5)追加撮影への対応。複数社から相見積もりを取って比較してください。

地域差の確認

都市部はVR業者が複数あって選択肢が広いですが、地方は1〜2社しかないこともあります。地元になければ、出張対応してくれる業者を探す形になります。早めの問い合わせが安心です。

フェーズ3:撮影実施――1日で家じゅうを網羅

業者に依頼する場合の撮影当日の流れと、施主側の準備を整理します。

撮影前の準備(前日まで)

カーテンを開けて自然光を取り込み、室内の照明をすべてつけて明るくする。映ってほしくない物(家族写真・郵便物・表札など)は事前に裏返す・移動する。「整えすぎない」のが鉄則で、暮らしの痕跡(調味料・本・落書き)はそのまま残します。詳しくはVRに映る「飾ってない日常」が思い出になる理由(教科書)を参照。

撮影当日の流れ

業者が機材を搬入し、家の中の各部屋を順にスキャンします。1ヶ所あたり数十秒〜数分で、家1軒(部屋数10〜20)でも合計2〜4時間程度。撮影中、施主は家の外で待機しても、別の部屋で過ごしても問題ありません。

外観・庭の撮影(オプション)

家の外観・庭・カーポート・物置などを含めて撮る場合、追加で1〜2時間。建物の正面・側面・裏面、季節の植物まで残しておくと、家の全体像が伝わります。追加料金は5,000〜2万円程度。

撮影中に気をつけたいこと

撮影中は、人が写り込まないようにスタッフから指示があります。家の中で動き回らない、家具を動かさない、撮影スタッフに声をかけて確認する――これだけ守っておけば大丈夫です。

撮影完了時の現場確認

撮影が終わったら、業者がその場でデータの一部をプレビュー。「ここを撮り忘れていた」「もう少し奥まで撮りたい」があれば、追加撮影を依頼してください。完了後に追加するのは現実的に難しいです。

フェーズ4:データ受領&確認――家がある間にやり切る

撮影から数日〜数週間で納品データが届きます。受け取った後の確認手順を整理します。

納品形式の確認

業者によって納品形式は異なります。一般的な形式:(1)Webブラウザで歩けるURL形式、(2)VRゴーグル対応データ、(3)動画ツアー版、(4)360度パノラマ画像セット、(5)オリジナルの3Dデータ。事前に決めた形式で届いているか、まず確認します。

家族で「歩いてみる」初回視聴

納品データを家族で集まって初めて見る時間は、特別な瞬間になります。スマホやPCで開いて、家じゅうを順に歩いてみる。その場で「ここ、撮ってないかも」「あの部屋を見たい」が出てきます。

撮り漏れチェック

家1軒の撮影でも、押入れの奥・物置の中・トイレの隅など、抜けが起きやすい場所があります。気づいたら、家がまだ残っているうちに業者へ連絡して追加撮影を依頼してください。解体後では絶対に追加できません。家族複数人の目で確認するのが鉄則。

気になる箇所の追加撮影

追加撮影が必要な場合、業者の追加料金や日程を確認。数千円〜数万円の追加コストで、後悔のない記録に近づきます。

家族で初体験を記録

家族でVRを体験している様子を、別途スマホで動画撮影しておくのもおすすめ。「家族がVRを初めて見たときの反応」自体が、後で見返したときの貴重な思い出になります。詳しくはVR空間記録を体験した家族の声まとめ(教科書)を参照。

フェーズ5:保存&共有――長期保存の体制を作る

納品されたデータを「20年後にも見られる状態」で残すための具体的な手順。これを怠ると、せっかくのデータが数年後に消える可能性もあります。

保存場所は3か所以上

(1)業者のクラウドサーバー(業者が長期保存サービスを提供している場合・5〜10年保証)、(2)自分のクラウド(Googleドライブ・iCloud・Dropbox・容量50〜200GB)、(3)外付けHDD or NAS(1TB以上)。最低3か所にバックアップを取れば、機器故障やサービス終了のリスクを大幅に減らせます。

長期保存形式でのエクスポート

VRウォークスルーは、業者独自の専用形式が多いですが、汎用的な3D形式(OBJ、PLY、GLBなど)でもエクスポートしてもらうと、将来の互換性確保に役立ちます。専用形式が読めなくなっても、汎用形式があれば変換可能。

家族でURL共有

家族・親族・遠方の友人にURLをLINEやメールで送付。「実家を見せたい」「育った家を見て」と一言添えると、思った以上に喜ばれます。閲覧期限がある場合は事前に確認。

家族の操作補助

VRウォークスルーの操作に慣れていない高齢者・年配の家族向けには、別途動画版(家の中を歩く録画)も並行して作っておくと、誰でも見られます。動画版は5〜10分のダイジェスト、長くて30分程度がおすすめ。

定期的なアクセス確認

1年に1回程度、データが正しく見られるか確認する習慣を付けると、問題に早く気づけます。サービスが変わってアクセスできなくなる前に、別の場所にもバックアップを取り直してください。

家族プロジェクトとして進めるコツ

VRウォークスルー制作は、業者任せの依頼ではなく、家族のプロジェクトとして進めると満足度が劇的に上がります。家族プロジェクト化のコツを整理します。

「責任者」と「補佐」を最初に決める

家族の中で、プロジェクト責任者と補佐役を最初に決めます。責任者は業者との窓口・スケジュール管理・最終決定を担当、補佐役は情報共有・残置物整理・近隣調整など。「中心になる人がいる」だけで、進行が大きく安定します。

家族LINEグループの活用

解体プロジェクト専用のLINEグループ(または共有チャット)を作り、進捗・写真・スケジュール・費用を共有。後で振り返れる記録にもなり、「言った・言わない」のトラブル予防にも。

段取りを「見える化」する

5フェーズのスケジュールをExcel・Googleスプレッドシート・Notionなどで「見える化」し、家族で共有。「今どこにいるか」「次に何があるか」が見えると、不安が大きく減ります。3か月前から週単位で進める設計が現実的。

家族会議は最低3回

(1)目的設計(解体3か月前・90分)、(2)業者決定後の確認(解体2か月前・60分)、(3)撮影前最終確認(解体1か月前・30分)。それぞれの会議で何を決めるかを事前にアジェンダ化しておくと、効率的に進みます。

子・孫世代も巻き込む

幼い子・孫がいる家族は、撮影日や家族会議に参加させると「家族全体のプロジェクト」として記憶されます。子どもにも「自分の役割」(写真担当・タイムキーパー・思い出話聞き役など)を持たせると、当事者意識が育ちます。

家族行事への活用と、ありがちな失敗5つ

納品されたデータを「眠らせず」に活用するための家族行事への組み込み方と、よくある失敗パターンを整理します。

家族行事1:法事・命日に流す

故人の命日や法事のとき、その人が暮らしていた家を家族で歩く時間を持つ。「ここでこんなことしてたよね」と自然に思い出話が始まり、故人を偲ぶ時間として強く機能します。

家族行事2:正月・お盆の家族集合

家族が集まる正月・お盆に、VRゴーグルを持参してプレゼンする。年配の親族が初めてVRを体験する瞬間は、その日のメインイベントになります。「実家を歩いている」感覚に、多くの方が驚きと感慨を見せます。

家族行事3:人生の節目で振り返る

結婚や転居など、人生の節目で実家を改めて見たくなる瞬間が訪れます。VRウォークスルーがあれば、「実家がない」状態でも、「実家を見る」体験は維持できます。

失敗1:家を片付けすぎてから撮ってしまった

「散らかっているから片付けてから撮ろう」と整理した結果、家の本当の姿が消えた。回避策は、撮影日を残置物処分の前に設定し、暮らしの痕跡があるうちに撮ること。「整えない」が鉄則です。

失敗2:解体直前に慌てて業者選定して間に合わなかった

「いつかやろう」と先延ばしにして、解体1か月前に動き出したら業者の予約が取れなかった。回避策は、解体3か月前から業者選定を始めること。地方は選択肢が少ないので、早めの動きが安心です。

失敗3:データを納品後にバックアップせず消失

納品されたデータを業者のサーバーに置きっぱなしにして、サービス変更でアクセスできなくなった。回避策は、納品後すぐに3か所以上にバックアップを取ること。家族にもデータの保存場所を共有しておく。

失敗4:撮り漏れに気付かず解体してしまった

納品データを表面的に確認しただけで、撮り漏れに気づかず解体日を迎えたケース。回避策は、データ受領後に家族複数人で念入りに確認し、家がまだあるうちに追加撮影を依頼すること。

失敗5:家族にURLを共有し忘れた

VRデータを撮影した本人だけが持っていて、他の家族が見られない状態。回避策は、納品されたら家族・親族のLINEグループでURLを即共有すること。家族の共有資産として位置づけるのが本来の使い方。

まとめ:VRウォークスルーは「歩ける家」を未来に届けるプロジェクト

自宅をVRウォークスルーで残すプロジェクトは、「単に撮って終わり」ではなく、家族の記憶を未来につなぐ長期的な取り組みです。本記事の独自フレームワーク「5フェーズ」――目的設計/業者選定/撮影実施/データ受領&確認/保存&共有――を順に進めることで、抜け漏れなく完成まで持っていけます。

第1〜2フェーズの「目的設計」と「業者選定」が最も大切。家族で目的タイプ4種(思い出/世代継承/実用/複合)から選び、業者選定はプロ・DIY・ハイブリッドの3択。複数社の相見積もり、地域差の確認、選び方5チェックポイントを押さえてください。

第3フェーズの「撮影実施」では、暮らしの痕跡を残したまま撮影することが鉄則。整えすぎない・直前に慌てない・撮影完了時に現場確認、これらを守れば撮影の失敗が減ります。

第4〜5フェーズの「データ受領」と「保存&共有」が、長期的な価値を決めます。家がまだあるうちに撮り漏れを確認し、納品後すぐ3か所バックアップを取り、家族にURLを共有して、家族行事で活用していく。汎用3D形式(OBJ・PLY・GLB)でのエクスポートも長期互換性確保に有効。20年後に見られる状態を作って、初めてプロジェクトが完了します。

VRウォークスルーは「家族プロジェクト」として進めるのが満足度を最大化します。責任者と補佐の役割分担、家族LINEグループでの進捗共有、Excel等での見える化、家族会議3回(目的設計/業者確認/撮影前最終)、子・孫世代の巻き込み――これらを設計すれば、家族の物語が深まります。

家族行事への活用は、法事・命日・正月・お盆・人生の節目など。「実家を歩く時間」が新しい家族文化として定着します。失敗5つ(片付け過剰・業者選定遅れ・バックアップ忘れ・撮り漏れ・URL共有忘れ)を避けるだけで、ほとんどの後悔は予防できます。

このページに辿り着いた方は、すでに「自宅を歩ける形で残したい」と決めかけています。あとは、5フェーズを順に進めるだけ。家族で目的を共有して、業者選定から動き始めれば、解体までに必ず完成形に届きます。「壊して終わり」ではなく「歩ける形で残った」という選択肢を、家族の未来に手渡してください。

ハウストーリーは、株式会社Leolineが運営する、実家じまいや解体前のVR空間記録に関する情報メディアです。「壊す」の前に「残す」という選択肢があることを、一人でも多くの方に届けたくて続けています。

監修:畠山 琢(株式会社Leoline 代表取締役)/制作:ハウストーリー編集部

監修 畠山 琢(はたけやま たく)
株式会社Leoline 代表取締役
解体前の住宅・歴史的建造物・乗り物などの空間記録を全国で手がける。JR北海道、北海道新幹線、日本航空大学校、札幌市路面電車など、「二度と同じ状態では撮れない」空間の記録実績多数。「資産を守り、育て、生かす」をミッションに、家族が「選ばなかった」と納得できるように選択肢そのものを届けることを仕事にしている。
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